ジョイントが折れた春。畦塗りは、田んぼ界のボス戦である

春が来て、農作業もいよいよ始動。
その第一ステージが「畦塗り」。
畦(あぜ)とは、田んぼのまわりを囲う土手のこと。
田んぼに水を張る前に、この畦を泥でしっかり塗り固めることで、水漏れを防ぐ。
地味だけど、これをやらないと田んぼが成り立たない。
地味で大事な“縁の下の力持ち作業”。
作業は昨日からスタート。
トラクター2台体制で、乾いた圃場はスイスイ進む。
「今年は余裕かも?」なんて思ってた。
でも2日目の今日、状況は一変。
ドロドロの圃場に突入。
昨日の快適ステージはどこへやら。
これぞ春の洗礼。
でも、晴れてるだけでちょっと機嫌はいい。
圃場には、性格がある
農口屋の圃場は、ざっくり2タイプ。
- 水はけ抜群、仕事がはかどる優等生タイプ
- 雨が降るとすぐぬかるみ、沼地と化す問題児タイプ
今回は後者の登場。
クローラー(キャタピラ)付きトラクターでないと立ち入り禁止。

雨が迫る。塗りきれなきゃ詰む
天気予報は「明日の夕方から雨」。
つまり、今日やらなきゃ詰みルート突入。
泥で塗った畦が乾く前に雨が降れば、
努力は水の泡、いや泥の塊。
「今日で決める、無理なら明朝勝負」
天気とのタイマン、始まりました。
地雷系ブロックにご注意を
作業前に、圃場の石やブロックがないかできるだけ確認しておこう。
とはいえ、草やら土やらの下に隠れていたら避けようがない。これはもう運試し。
「ガキィィィィィン!!!」
突然、鈍く嫌な音。
そして刃がポキリ。
犯人は、草の下に身を潜めていたコンクリ製の境界ブロック。
地中から出てくる石も地味に脅威。
視界外からの強制終了イベント、発動。
ダメ押しで、ジョイントもやられる
続けざまに、ジョイントもパキン。
畦塗り機に動力を送る、いわば心臓部。
それが折れると、畦塗り機はただの置物。
存在感はある。
でも、ただの農業系インテリア。
よびのジョイント、発見
もうダメかと思ったそのとき。
倉庫の奥から「よびのジョイント」が登場!
宝箱からレア装備を引き当てたような感動。
心のHPとMPがちょっとだけ回復。
どうぐ袋から よびのジョイント を取り出して装備。
効果はばつぐんだ!
交換完了。畦塗り、ふたたび始動。
※ちなみにこのとき壊れたのは、写真に写ってないほうの畦塗り機。
記録はないけど、記憶には残ってる。

畦塗りは、ただ泥を塗るだけじゃない。
- 刃が折れる(心も折れる)
- ジョイントも折れる(「あ、終わった」と思う)
- ぬかるみにハマる(脱出で1日終わる)
- 雨に追われる(やり直しルート)
それでも畦を塗るのは、
これがないと田んぼに水が張れないから。
地味だけど、コメづくりのスタート地点。

今日も畦は静かに塗られていく
石にやられ、ジョイントに裏切られ、
ドロ団子と化した畦に再挑戦。
それでも、なんだかんだで塗っていく。
ちょっと泥まみれになるのも、悪くない。
派手な勝利はないけれど、
夕方、道具を片付けたあとの泥だらけの長靴に、
ほんの少しの達成感が宿る。
そして次の日もまた、畦は待っている。
ジョイントの寿命を祈りながら。
(今日の夕焼け、なんかやたら沁みた)