【挑戦記】農口屋、幻の機械で出西生姜に挑む

こんにゃく定植機、ついに始動
今年の農口屋は、少し違う。
なぜなら「こんにゃく定植機」を手に入れたからだ。
群馬の方からヤフオクで購入した、今や製造終了した幻のマシン。
名前だけ聞くと「定食屋でも始めたのか?」と思われそうだが、
実際は立派な植え付け機である。しかもこんにゃく専用だったやつを、生姜に転用。
小生姜(こしょうが)向きに畝幅60センチ。
機械の最大幅も60センチ。
出会うべくして出会った、運命のマッチング。

まずは土を掘って…埋めすぎ問題発生
作業開始。
付属の培土機で、ウイーンと土を掘り、生姜をコンベアにぽいぽい並べていく。
これは楽だ、と思ったのも束の間。
管理機で土寄せすると、
「えっ、そんなに土盛る!?」ってくらい生姜が深く埋まった。
原因は、まず培土機で土を掘っていること、
さらに培土機が中央に土を寄せる設計だったことの二重構造。
そこへ管理機で土を上乗せした結果、
そりゃもう地層。
古代ロマンすら感じる層の厚みになった。
芽、出るかな?
出ないと困るので、急いで作戦変更。
培土機はできるだけ上に持ち上げ、
地面に生姜を直置きして、上から土をちょいっとかぶせる方式に。
泥臭い話だが、これが現場力ってやつだ。

種生姜が足りない?植え幅パズル
植え付け間隔は、最初20センチ間隔で進めていた。
が、途中で気づいた。
「あれ?このペースだと、種生姜足りなくね?」
急遽、26センチ間隔に広げた。
28センチも検討したが、機械の歯車がはまらなかったので断念。
押してもダメなら引いてもダメ。諦めが肝心。

サイズばらばら問題。コンテナのくじ引き大会開催
今年の種生姜は、なかなか自由な子たちだった。
コンテナごとにサイズのムラがすごい。
種生姜ひとつにつき、50gから150g以上。
同じ「種生姜」と呼ぶには、ちょっと気が引けるレベル。
このサイズ差のせいで、畝の本数も予定より少なくなりそうな予感がした。
だったら植える幅を広げればいいんじゃない?と考えて、幅を広げた。
が、冷静に考えると、畝が増えたら単純に管理も増えるだけだった。
増えたのは希望ではなく、手間だった。
来年はもっとサイズを揃えよう、という初歩的で壮大な反省メモをここに残しておく。

手作業地獄から、機械文明へのジャンプ
作業場所は3ヘクタール弱の田んぼ。
実際に植え付けるのは、2ヘクタールちょっと。
今日はその半分を作業。
機械の調整でワチャワチャしながら、なんとか進んだ。
去年までは、3人で手作業。
一列ずつ生姜を並べ、腰が悲鳴を上げるスタイル。
それが今年は、
機械に座ってコンベアに生姜を乗せるだけ。
劇的ビフォーアフター。
文明開化。

クローラー式、左に寄りたがる病
しかし、文明にもクセはある。
こんにゃく定植機、まっすぐ進まない。
油断するとじわじわ左に寄っていく。
クローラー式だからか、ちょっと操作すると、びっくりするほどカクッと曲がる。
素直じゃない。
まるで反抗期の中学生。
なだめすかしながら、なんとか走らせる。
自然も人間も機械も、すべて一筋縄ではいかない。
それが農業だ。

農口屋から小声のメッセージ
今年も、香り高い出西生姜を育てています。
いろいろありますが、秋にはきっといいものをお届けできるはず。
どうか、楽しみにしていてください。
